CHAPTER 01
「川上から」クリエイティブに取り組む構造設計者を目指して
大学では、構造の研究室で構造ヘルスモニタリングの分野を研究していました。就職に際しては、組織設計事務所とゼネコンの間で悩みましたが、より川上からプロジェクトにコミットし、コンセプト策定段階から携わることで自由な設計に取り組めるのではないか、と組織設計事務所を志望しました。
いくつかの組織設計事務所を検討しましたが、社員訪問やサマージョブを通して、三菱地所設計の皆さんがひとつひとつのプロジェクトに対して真摯に取り組まれている姿勢や、社内のいろんなところでディスカッションを重ねて設計をしている状況がとても心地よさそうに感じて、入社しました。
実は学生時代、超高層オフィスビルの「基準階」という考え方があまり好きではなく、大空間や複雑な吹き抜け空間があるような、断面構成の豊かな建築を設計したいと考えていました(入社後、自己紹介で赤裸々に「超高層はあまり好きではありません」と言ったところ「入社する会社、間違えたか!?」と社員の方に煽られてしまいました(笑))。しかし、実際に超高層ビルの設計プロジェクトで構造担当になってみると、実は低層部の商業空間は複雑な平面計画であったり、風環境を改善するための大屋根をビル本体とは別で計画したり、いろいろな要素が組み合わさっての「超高層ビルの設計」であることに気付いたんです。今では、まさに学生時代に思い描いていた「豊かな空間の設計」に携わることができていると感じています。
設計に際しては、振動解析の応答値をクライテリア以下に納めていかなくてはならないのですが、自分が構造的にやりたいことを盛り込むために、プロジェクトの初期段階から柱割りや制震装置の配置をいかに合理的に計画するかを追求していく……。学生の時にはイメージできなかった設計の面白さがあることも知りました。
