CHAPTER 04
価値ある都市づくりのための「伝える力」の大切さ
小規模なプロジェクトでは、上司のバックアップのもと、ほぼひとりでクライアントと向き合うことが多いのですが、打ち合わせの場に出るようになってから、提案に納得してもらえるための「伝える力」の重要性を痛感しています。クライアントがいてこその仕事なので、自分自身が「こうしたい」「これがよい」と思ったことであっても、それぞれのクライアントの感性や価値観に合わせて納得いただかない限り、実現させることはできません。
再開発プロジェクトには、学生時代の自分が想像していた以上に、複雑で現実的な課題があります。たとえば道路を再編するとき。道路の下にはたくさんのインフラ設備が埋設されていますが、これらの状況を把握し、新しく整備する道路の幅員や形状、決まりごとに合わせて再構築する計画が必要です。ただし、すべてが基準通りにうまく納まるとは限りません。それぞれの課題に対して、最適な解決策を検討し、ステークホルダーと協議を行い、ひとつひとつ対処していきます。まるで都市を「手術」しているような感覚です。
日々めまぐるしく状況が変わっていく中で、私たちはさらによりよい提案をするために試行錯誤しています。単なる一過性の判断に流されることなく、将来に向けてより価値ある提案をクライアントに納得していただくためにはどうしたらよいか、こうしたことに重きを置いて、日々業務に取り組んでいます。常に進化し続ける設計の現場で、より価値ある都市づくりに貢献していきたいと考えています。