THEME 02
柔軟で、確実で、最適な体制を組み上げる
岡田:地域に開かれた施設として、試合やイベントがない日にも訪れることのできる場所にしたい。集客を確保し、収益を上げるにはどんな施設がいいのか。発注者をサポートするPM・CM業務では「発注者目線」を持つことが重要なのですが、ここで目指す「ワクワク感」を共有していくにつれ、発注者と一体になって、プロジェクトにのめり込んでいった感覚があります。
一方、昨今の資材高騰や経済状況の不安定の中でも、全体の事業費や工程、体制を把握し、無事に竣工させることが要求されます。アイデアを膨らませながらも、確実にそれを実現する手立てを講じる必要がありました。
下田:特に今回は、全体開業をBリーグの開幕戦に間に合わせるという命題に加え、「事業性と建設計画を並行して検討したい」「その検討期間をできるだけ長く確保したい」という要望があったので、各種の課題解決に適した、最適なプロジェクト体制の構築が何よりも重要だと考えました。そこで、まず建設現場を4つの工区(エリア)に分割し、そこで行われる150区分に及ぶさまざまな工事について一元的に集約し、各種の専門メーカーやコンサルタントへの発注を支援しました(通常は、ゼネコンが発注管理を行う工種が多い)。多くの関係者が参画しながらも、混乱が生じないプロジェクト体制を提案し、発注者と共にこれを構築・管理していったんですよね。
羽田野:いかに工程を合理化・最適化できるかが鍵でしたね。この体制を組んだことで、事業性や各工事の検討時間の確保やコスト削減などにメリットがある一方、各所への直接発注や、建築本体や工区間の調整などは大変になります。しかも工事の途中に、開業準備期間を確保するために全体の工期を1か月短縮することになり……。
岡田:いろいろ大変なことがありすぎて忘れかけていましたが、そうでしたね。役割分担としては、下田さんが建築本体工事、私が別途工事(建築本体工事とは別に契約される、演出設備工事やICT工事、厨房工事など)を担当しましたが、プロジェクトの進捗にあわせて社内外の体制なども調整し、関係者全体で連携しながらどうにか予定通り開業を迎えられました。
下田:特に今回は最新鋭のICTを活用した「スマートスタジアム」、広く見れば「スマートシティ」の実現という側面もあり、プロジェクトの途中から電気設備設計の鈴尾さんにも加わってもらったんですよね。
鈴尾:当社ではCM業務を受注すると、電気・機械設備や構造、工務やコストなど、さまざまな職能を集めたチームをつくります。通常はCM部がフロントになり、各職能と適宜相談しながら進めますが、今回は規模が大きく、施設全体の通信ネットワークを構築する上で、より高い専門性が求められたこともあり、電気関係は私が直に発注者や施工者との調整を進めました。羽田野さんも現場が始まってからは、直接進めることが多かったですか?
羽田野:そうですね、もちろん定例の打ち合わせなどは下田さん、岡田さんと一緒に参加していましたが、私が本格的に参画したのは既存建物を解体するタイミングでした。ここは工場の跡地だったので、なかなか一筋縄ではいきません。地中に思わぬ物が埋まっていたり、廃棄物の処理にも気を遣います。当社のノウハウを生かしつつ、地元の解体業者と発注者の架け橋となって、工事を進めていきました。
下田:私たちは東京からの通いだったので、すぐに現場に駆けつけられない時は福岡(九州支店)にいる羽田野さんに対応していただけたので、本当に助かりました。拠点を超えた連携が機能していたと思います。