株式会社三菱地所設計(本店所在地:東京都千代⽥区丸の内、代表取締役社⻑:谷澤 淳一)は、2023年より「都市・建築・人をつなぎ合わせるツール」として、建物の内外を問わずに人の移動をシームレスなものとする新時代モビリティ・システム『SMS:Seamless Mobility System』(以下、『SMS』)構想を提唱してまいりました。このたび、ここで提案する2タイプのモビリティについて、2024年7~9月に日本国内における意匠権を取得したことをお知らせいたします。
『SMS』の一連のモビリティの特徴は、既存のモビリティ・プレイヤー(自動車・航空機産業など)からの提案ではなく、建築設計事務所からの提案として、ラストワンマイルの道のりだけでなく、目的地(建築)の内外の空間までを一連の「移動」としてデザインされたモビリティによって、建築・都市の機能や姿を変える、といった視座のもと、構想を描いてまいりました。
このたびの意匠権の取得は、こうした一連の構想における当社ならではの世界観をより発展させ、今後の私たちのさまざまな建築・都市の提案へと活かしていくことを企図したものです。
- 主に物流、交通業界において「顧客や目的地にモノ・サービスが到達する際の最後の区間」を指す言葉。
意匠権を取得①:「Trunkbot」(トランクボット)とその一連の共通プラットフォーム
『SMS』のうち、最小サイズのモビリティが「Trunkbot」です。内部にものを収納し、建物内や道路上を歩くユーザとともに走行します。高齢者や長時間の移動が困難な人びとに寄り添う、自分自身の足による運動や移動を応援するモビリティ。これは、『SMS』のコンセプトである、都市空間の移動をよりインクルーシブなものにするアイデアのひとつです。
今回、「Trunkbot」に用いられているプラットフォーム(下部骨格・走行システム)において意匠権を得ることで、複数のバリエーション展開においても、独自性ある提案と認められています。
「Trunkbot」は腰掛けることも可能。
さまざまな人の移動をサポートするモビリティです。
プラットフォームのバリエーション展開:「Trunkbot Wheelchair」と「Trunkbot Logistics」
「Trunkbot Wheelchair(ホイールチェア)」
「Trunkbot」のプラットフォームに、コンパクトに折り畳める座席を設けたモデル。
シェア・モビリティとして設置され、都市や、建物・施設内の近距離の移動を支えます
「Trunkbot Logistics(ロジスティクス)」
傾斜のある地面でも安定して水平面を維持できる特性を活かし、物流用に展開したモデル。
建物内の細い廊下などのさまざまな環境で、自動運転で荷物を運びます。
意匠権を取得②:モジュラー型モビリティ「Passenger VTOL」(パッセンジャーブイトール)
『SMS』のアイデアを都市の上空にまで展開し、より自由な空間利用を可能とするeVTOL(電動垂直離着陸機)のあり方を提案した「Passenger VTOL」。プロペラ、キャビン、走行の3つのユニットから構成される全自動操縦型電動式のモビリティ・システムです。
デザインの独自性が認められ、本モビリティは先行して2024年2月、欧州における意匠権(欧州共同体意匠 DM/235029)を取得し、今回、日本国内においても意匠権を取得したものです。
モジュラー型モビリティ・システムとして、プロペラ、キャビン、走行の3つのユニ ットを組み合わせ、空と地上を移動します。
バーティポート(離発着場)のデザインも構想。ビルの屋上を空からのエントランスとする、新時代の建築の提案です。
「Passenger VTOL」のビジュアルは、2024 年 3 月より放映された三菱地所株式会社の TVCM「『三菱地所と次にいこう。』空飛ぶクルマ篇」でも使用されています。
ご視聴はこちら:三菱地所 公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=KjLQnaDeysw
関連ニュースリリースのお知らせ
「Trunkbot」をはじめとするさまざまな『SMS』は、下記リリースで詳しくご紹介しています。
建築設計事務所から新型モビリティ提案、プロトタイプを
製作
新時代の都市要素としてモビリティを考え、将来の「都市の移動」をリデザインしました。
ブックレット『SMS:Seamless Mobility System』
上記リリースに合わせて作成した、建築や都市の設計に携わる当社のアーキテクトらによる「モビリティが都市・建築・人びとの過ごし方をどう変えるか」という社会提案をまとめたブックレットです。
(発売中:A4 変型判、全 92 頁、定価:3,000 円+税)
ご購入・内容ご説明は三菱地所設計 Web サイトお問い合わせフォームへ
「Passenger VTOL」と未来の都市・建築のビジョンは、下記リリースで詳しくご紹介しています。
《空飛ぶクルマ》で変わる「これからのビル」とは?
都市・建築・次世代エアモビリティからなる一連の運用システムとデザインの提案を行いました。
一連の『SMS』は、三菱地所設計のデザインスタジオにより検討・構想されました
デザインスタジオは、三菱地所設計のさまざまな知見を「組織設計事務所の総合力」として発揮すべく設置された部署です。まちづくり・建築設計の広汎なノウハウを土台に、社会環境を分析し、創造的なソリューションを提案します。『SMS』はデザインスタジオに設けられた次世代モビリティのワーキングチームを中心として、2021 年 12 月より検討を進めてきたものです。
三菱地所設計は、1890 年の創業以来、東京都千代田区丸の内に拠点を構え、都市計画から建築設計・監理、企画・コンサルティング、リノベーション、コンストラクションマネジメントなど、拡張する活動領域に 130 年を超える技術の蓄積やネットワークで向き合う、日本で最も歴史ある組織設計事務所です。今日、国内のみならず、中国・上海とシンガポールに海外拠点を設け、東アジア・東南アジア全般に展開し、日々多様な業務に取り組んでいます。
以上