このたび、日本大学理工学部(東京都千代田区、学部長:轟 朝幸)と株式会社三菱地所設計(東京都千代⽥区、代表取締役社⻑:谷澤 淳一、以下 三菱地所設計)は、日本大学大学院理工学研究科建築学専攻が2024年度に新開講した演習科目『建築学プロジェクト』において、三菱地所設計の継承設計室をはじめとする設計者らが授業カリキュラム構築と運営・実施への協力を行っていることをお知らせいたします。
写真:三菱地所設計
これからの「戦後・経済成長期の建築」における評価と改修への取り組み方を、
産学連携で考える
本年度に初開講した『建築学プロジェクト』※は、実践・調査・研究などに関連するトピックに対し、学生自らが課題を設定し、その目的や調査・設計・実験方法などを企画・実行して成果を考察するPBL(Project Based Learning)の演習科目です。山中 新太郎 教授(地域デザイン)と田所 辰之助 教授(建築史・建築論)による「山中・田所ユニット」では、昨今高まる近代建築の保存・活用ニーズに応え、『継承と対話』と題し、建築物の歴史的な評価を基にした保存・継承の検討や、これを具体化する改修設計手法の探求を目的とし、実習や調査、発表を行っています。
この授業では、学術的な分析と実務的な設計手法を融合すべく、多数の近代建築の改修を手掛ける三菱地所設計の継承設計室をはじめとする複数部署の設計者が参加し、カリキュラムの構築や学生指導に協力しています。
テーマ「継承と対話」について
近年、近代建築の保存や活用への関心がますます高まりを見せ、こうした建築物を活用した施設がまちの魅力向上に大きく寄与するケースが増えています。そのために重要となるのが、① オリジナルの建築のどの部分に価値を見出し、何を保存・継承するかを判断することと、② それをもとに提案を具体化する設計手法です。
初開講した『建築学プロジェクト』における山中・田所ユニットの授業『継承と対話』では、両教授と共に、三菱地所設計の継承設計室をはじめとする複数部署の設計者が指導を補助し、既存建築物の記録評価書の作成、保存・活用計画の立案、改修設計のクリティークなどを行います。この授業を通じ、学生は既存建築物の調査・分析から歴史的価値を見出し、具体的な改修提案を作成する一連のプロセスに取り組みます。
これに際し、山中、田所両教授により、日本大学理工学部建築学科のキャンパスに近く、高度経済成長期を代表する建築物として「パレスサイドビルディング」(1966年竣工、設計:日建設計)が調査と提案の対象に選ばれました。
写真:三菱地所設計
授業の取り組み方(カリキュラム)
2024年度の後期授業(2024年9月~25年3月)を通し、学生は、① 実地見学・調査のもとで建築物の精緻な読解を行い、DOCOMOMO Japan※の建築評価を参考に、独自の評価書を作成します。その上で、② 評価に則り、コンセプトテキスト、ダイアグラム・各種図面からなる、建築物の改修・保存・活用における基本計画の提案とそのブラッシュアップを行い、③ 分析から詳細な設計提案に至るまでをまとめた成果を互いに発表します。
建築設計の実務分野においても、新築のみならず改修の設計業務が増えつつある昨今、日本大学理工学部と三菱地所設計は、大学教育の場で「建築物の価値を分析・判断すること」、「改修とその取り組み方について考えること」を主題に扱うことにより、将来、都市や建築に携わる若者の意識醸成を図ります。
同時に、基礎研究から実務への展開、実務活動を研究として蓄積させる手法を構築し、社会への貢献を実施してまいります。
関係者プロフィール
理工学部の前身である日本大学高等工学校の初代校長は、建築・構造から都市計画・復興計画まで幅広い分野で活躍し、日本の近代建築の礎を築いた佐野 利器(さの としかた)。日本大学理工学部は建築学科をはじめ大学院につながる14の学科からなり、駿河台(東京都千代田区)と船橋(千葉県船橋市)の2つのキャンパスで、約10,000人の学部生や大学院生が学んでいます。
緻密な調査による価値判断に基づく「歴史的建造物の保存活用」「リノベーション」「開発と継承」の豊富な実績のもと、設計、コンサルティング、技術支援、記録調査などの多様な手法で、経済性、機能性、文化的価値といった軸に留まらない、社会的価値の保全と発展に貢献します。
※「継承設計」は三菱地所設計の登録商標です。
中国・上海とシンガポールに海外拠点を設け、東アジア・東南アジア全般に展開。日々多様な業務に取り組んでいます。
以上
本件に関するお問い合せ先
日本大学理工学部 庶務課
cst.koho@nihon-u.ac.jp
株式会社三菱地所設計 広報室
corporate.communications.office@mj-sekkei.com