NEWS RELEASE

2025.04.01

学士会館をデジタル上で体験できる「学士会館デジタルアーカイブ」を公開しました

三菱地所設計ほか5法人共同プロジェクト/当社は復元3DCGモデル制作を担当

Webサイト「学士会館デジタルアーカイブ」トップページ

学士会館デジタルアーカイブプロジェクトについて

学士会館は、旧帝国大学(現在の国立七大学)出身者からなる学士会会員の親睦と知識交流を目的とした倶楽部建築として、1928(昭和3)年に誕生しました。この「旧館」の設計は高橋貞太郎が担当し、また1937(昭和12)年には藤村朗(三菱合資会社地所部)設計の「新館」が増築されました。20253月には東京都指定有形文化財に指定されました。再開発事業に伴い、学士会館は2024年末をもって休館しました。旧館は曳家によって移動された後、耐震・改修工事を施し保存される一方で、新館は解体される予定です。そこで、休館前の学士会館旧館・新館の姿を記録すべく、「学士会館デジタルアーカイブ」プロジェクトが発足しました。

デジタルアーカイブには写真・動画・図化など様々な手法がありますが、今回は建物の一部が解体され現物が失われることを踏まえ、より多くの情報を保持できる3DCG モデル作成を行う方針としました。モデル作成には、レーザースキャンによって取得した寸法情報と、写真から生成されたリアルなテクスチャを併せ持つ「フォトグラメトリ」を採用し、休館前の学士会館を詳細に記録する3DCGモデルを構築しました。

また創建時から特に改変が大きな部屋について、古写真や古図面から復元3DCGモデルを作成し、現在の空間と行き来することで学士会館の歴史の積層を体験できるようなデジタルコンテンツを作成しました。

Webサイト「学士会館デジタルアーカイブ」では、360°動画やバーチャルツアーといった
VRコンテンツを通じて、学士会館の歴史や空間を紹介し、学士会館の魅力を紐解いています。
詳しくは、下記リンクよりご覧ください。

https://www.gakushikai.or.jp/gakushikaikan_archive/gakushikaikan/

ギャラリー

学士会館復元モデル(旧球戯室)

プロジェクトチームの紹介

今回の「学士会館デジタルアーカイブプロジェクト」は、以下の6法人によって構成された「学士会館デジタルアーカイブチーム」が企画・制作しました。

一般社団法人学士会
昭和3年に学士会会員の会員倶楽部施設として建築された「学士会館」は、老朽化による再開発のため20241229日をもち閉館(一時休館)いたしました。再開発により、学士会館は一部姿を変えることになりますが、96年間皆さまに愛されてきた、現・「学士会館」を永遠に残したいとの思いから、デジタルアーカイブを作成することにいたしました。チームの皆さまの緻密かつ丁寧なお仕事のおかげで、「学士会館」は一足早くデジタル上にて復活いたしました。実際の学士会館を訪れたことのある方も初めての方も、プロ達が細部にまでこだわりぬいた「デジタル・学士会館」をぜひ体感してください。

株式会社文化財保存計画協会(企画・監修)
弊社では、文化財建造物である学士会館の保存と活用を図る目的において、解体が決まった新館を含めた記録保存を行いながら、その価値を顕在化させ、休館中も利用者に楽しんでいただける機会を提供したいと考え、デジタルアーカイブコンテンツの企画を行いました。文化財のデジタル化による、データ共有と活用の展望に期待しています。本プロジェクトでは、文化財の専門家としての知識や経験を活かし、学士会館の適切な記録保存、文化財的価値の発信、復元考証の監修を行い、今後の保存活用に資する魅力的なコンテンツの開発を目指しました。

株式会社ハコスコ、太陽企画株式会社3DCGモデル制作、WebVRコンテンツ制作)
私たちは学士会館の外観と内観を様々な角度からスチール撮影及び株式会社ジャストの取得した点群データ等を用い、フォトグラメトリという手法でその3Dモデルを生成、またデジタルコンテンツ化いたしました。撮影期間は数週間に渡り、撮った写真は27万枚を超える大作になりました。現実をデジタル空間上で再現し、新しい価値を提供できたのではないかと自負しております。

株式会社ジャスト(レーザースキャン)
本プロジェクトでは、3DCGモデルの骨格となる建物全体の基本形状を3Dレーザースキャナーという機器で計測しました。計測は建物内外の合わせて約2,000箇所で行い、取得した点群データと呼ばれる無数の3次元座標データを一体的につなぎ合わせて建物の全体形状を構築するデータ合成処理を担当しました。

株式会社三菱地所設計(復元3DCGモデル制作)
当社は本プロジェクトにおいて、学士会館竣工当初の「球戯室」の復元3Dモデル制作を担当しました。「球戯室」は和食料理店に転用されており、内装の意匠が大きく変わっていたため、当初の図面・古写真・文献等を分析し、また、解体調査によって天井裏などに残っていた古い内装を確認し、復元考証を行いました。色味・テクスチャなどの根拠史料が不足している箇所は、館内の類似箇所や、高橋貞太郎の設計による他の建築を参考にし、装飾の細部に至るまでモデル化しました。木部の凹凸や天井のモールディング、ビリヤードベンチの革張りやタイルの質感など、ディテールまで再現された「球戯室」の姿をぜひご覧ください。


今後の展望

今回作成した3DCGモデルを基に、今後学士会館の情報発信のための多様なコンテンツを制作する予定です。その一つとして、メタバース化の展望があります。メタバースは人々が同じデジタル空間に集い、コミュニティを形成する特性を持つため、倶楽部建築として機能してきた学士会館と親和性が高いと考えており、メタバース実装を視野に入れたコンテンツ開発を進め、既存会員に対しては、これまでの学士会館の機能を代替するサービスを提供し、新規会員や新たな利用者に対しては、学士会館の文化財としての価値を発信しながら、認知度や愛着をより高めることができるコンテンツを展開していきます。


企業情報

一般社団法人学士会(https://www.gakushikai.or.jp/
所在地:東京都千代田区神田錦町3-28(再開発期間中:東京都千代田区一ツ橋1-2-2 住友商事竹橋ビル2階)
事業内容:旧七帝大(北大・東北大・東大・名大・京大・阪大・九大)同窓団体

株式会社文化財保存計画協会(https://www.b-hozon.co.jp/
所在地:東京都千代田区神田小川町3-26-8 神田小川町3丁目ビル4階
事業内容:文化財建造物や史跡・名勝の保存修理、保存活用計画の策定、歴史的まちづくり、世界遺産登録支援など、文化財の保存活用に関するコンサルティング全般

株式会社ハコスコ(https://hacosco.com/company/
所在地:静岡県熱海市伊豆山1173-439
事業内容:VR/メタバース、ブレインテックサービスの開発・販売

太陽企画株式会社(https://taiyo-techlab.jp/
所在地:東京都港区新橋5-21-1
事業内容:TVCMを主とした広告宣伝全般/VR、ドーム映像制作
 
株式会社ジャスト(https://www.just-ltd.co.jp/
所在地:神奈川県横浜市青葉区あざみ野南2丁目4番1号
事業内容:住宅、ビル、商業施設、公共施設、工場、ダム、トンネル、橋梁などあらゆる建築・土木構造物の検査・調査・診断

株式会社三菱地所設計(https://www.mjd.co.jp/
所在地:東京都千代田区丸の内2-5-1 丸の内二丁目ビル
事業内容:都市計画、建築設計・監理、コンサルティング、リノベーション、コンストラクションマネジメントや、これらに係る歴史的建造物の保存活用や継承、アーカイブ作成等

お問い合わせ

一般社団法人学士会 企画調整/広報渉外チーム
TEL:03-3292-5931 Mail:koho@gakushikai.or.jp
株式会社三菱地所設計 広報室
TEL:03-3287-5001

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