MEC Industry鹿児島湧水工場/受付棟

三菱地所をはじめとした7社により2020 年に設立されたMEC Industry株式会社。その拠点である鹿児島湧水工場に建つ、食堂・会議室からなる建築物の設計プロジェクト。
過疎化が進む人口約9,000人ほどの小さな町に工場をつくる上では、「働きたい」と思ってもらえる快適な就業環境をつくることで雇用を創出し、林業だけではなく地域経済にも貢献する、新しい工場のあり方を目指しました。同時に、社員が自社の木質製品を日頃から感じられること、来訪者へのショールームとして機能すること、工場を地域住民との交流を育むことのできる場とすること、といった多面的な期待に応える空間の実現がテーマとなりました。
林業人口の低下、地方創生・活性化、建築業界の職人不足、脱炭素社会の実現といった社会的課題の解決に際し、「地域から愛される拠点」を目指すこと。これは、結果として会社としての競争力を高めていくことにつながります。地方における地域と工場の新しい共生のあり方を体現する計画です。
DATA
竣工年 | 2021年 |
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所在地 | 鹿児島県姶良郡湧水町 |
用途 | 生産施設、オフィス、倉庫・物流施設 |
敷地面積 | 90,845㎡ |
延床面積 | 620 ㎡ |
階数 | 地上2階 |
構造 | S造 |
受賞内容 | ・2023年度グッドデザイン賞(公益財団法人 日本デザイン振興会/日) ・ウッドデザイン賞2023(一般社団法人 日本ウッドデザイン協会/日) View More |
当社業務 | 設計監修、監理監修 |

大階段のある吹き抜け。
CLT等のラミナとなるスギ無垢板材を用いた壁面、スチール手摺に編み込むように取り付けた多数の化粧角材、トップライトの木ルーバー、ベンチとして機能する木塊の座面など、多様な木の使い方をひとつの空間に統合。社員らの日常動線ながら、同社の理念を体現する象徴的な空間をデザインしました。

社員の休憩スペースを兼ねる食堂。造作の上下配光照明にスギ無垢板材による反射板を組み合わせ、室内を柔らかい光で満たします。地域の方も一部利用することができる開かれた施設とし、地域への貢献を図っています。



受付棟とオフィス棟・製造棟とをつなぐブリッジ。本工場で生産される木材から構成される手摺は取り外しが可能。社員自らがメンテナンスし、交換・更新できる、持続性ある計画としています。




MEC Industry鹿児島湧水工場の全景。
2022年からの本格稼働によって、三菱地所グループ内に、木材調達、製材・加工から、商品企画、不動産開発、建築設計、施工、施設管理、運営に至るまでの、建築物における木材活用ネットワークが構築されました。
Update : 2025.01.24