2025年大阪・関西万博 三菱未来館
Mitsubishi Pavilion for EXPO 2025 OSAKA, KANSAI, JAPAN

2025年大阪・関西万博の三菱グループパビリオン「三菱未来館」です。
三菱未来館の展示テーマは「いのち輝く地球を未来に繋ぐ」であることから、「生命・地球・人間」のつながりをパビリオンのデザインコンセプトとしました。パビリオンは地下1階・地上2階建てとし、すり鉢状の楕円形半地下空間の上にひし形が覆いかぶさるように内接、さらにそのひし形に長方形が内接する構成です。
これら楕円形・ひし形・長方形3つの幾何学体をそれぞれ「生命・地球・人間」に見立てることで、相互に支えあう関係を建築物として表現しました。メインアプローチとなる東ゲート広場側だけでなく、反対側の外周道路からも見られることを意識し、建物に正面を設けない全方位型のデザインとしています。
DATA
所在地 | 大阪府 大阪市 |
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用途 | パビリオン |
敷地面積 | 3,476.46㎡ |
延床面積 | 2,075.83㎡ |
階数 | 地上2階、地下1階 |
構造 | 鉄骨造、木造 |
当社業務 | 設計、監理 |
開催期間 | 2025年4月13日~10月13日 |
関連リンク | 愛・地球博 三菱未来館@earth |
写真 | ナカサアンドパートナーズ |



内部空間は、主となる映像展示を中心に、様々な空間を体験しながら“体内”を立体的に横断する構成です。
来館者はまず、半地下空間の【ウェイティングパーク】に降り立ちます。ここは建物が日射を遮り、冷気が流れる快適な待機スペースとなり、猛暑時の日よけ空間としてすべての来場者に開放されます。
そこから1階の【プレショー】でガイダンス映像を視聴し、2階の【メインショー】へ進みます。
没入型映像体験を終えた後は、再び1階へ下り、【ポストショー】を通って、最後に建物先端の浮遊する【サンカクパーク】へとたどりつきます。


デザインを決定していく上で、私たちがテーマにしたのが「小さな資源循環」です。
このパビリオンは半年間の会期後に解体し、敷地を元の状態に戻すことが決まっています。
そのため、大切な地球資源である大地を「間借り」して万博が終わったらそっと元に還せるよう、建物と地面がなるべく接しない構造とし、掘削した土は敷地内の造成に用いて埋め戻す計画としました。


仕上げには、通常工事中のみに活躍する仮設資材を本仕上げ材として異なる使い方を模索し、会期後の転用も視野に入れることで経済負荷と環境負荷の低減を図っています。
また、空調エリアを絞り建物内の大半を日本家屋に見られる“縁側“のような半屋外空間とすることで空調負荷を低減しました。さらにライティングにおいては華美な演出を避け、建物内側からの柔らかな照明がそのまま外側に漏れ、光と影が織りなすグラデーションを生かすことで、日本の伝統文化に根ざした暗がりを尊重する空間の奥行きと深みを演出しました。
これらの取り組みで、建設から解体までの過程をトータルにデザインする、小さな資源循環=ショート・サーキュラー建築を目指しています。





Update : 2025.04.15