Hirooka Terrace
Hirooka Terrace
「Hirooka Terrace」(右)と、2014年に竣工、供用されている「北國銀行本店ビル」(左)
北國銀行を中核とするコンサルティング事業を展開するCCIグループによる、テナントオフィスビルの新築計画。
建物は、当社設計による「北國銀行本店ビル」(2014年竣工)に隣接しており、両棟で連携を図りながら、金融機関をハブとして地元企業・官公庁・教育研究機関をつなぎあわせる場、さらに地域づくりの取り組みに加え、首都圏や海外への展開・情報発信を強化する拠点となります。
DATA
| 竣工年 | 2025年 |
|---|---|
| 所在地 | 石川県金沢市広岡2丁目12番24号 |
| 用途 | オフィス、駐車場 |
| 敷地面積 | 7,937.42㎡ |
| 延床面積 | 21,030.07㎡ |
| 階数 | 地上13階、塔屋1階 |
| 構造 | 地下:RC造 地上:S造(一部CFT造) |
| 当社業務 | 設計、監理 |
| 施工 | 清水建設(建築)、米沢電気工事(電気)、第一電機工業(電気)、 柿本商会(空調・衛生)、北菱電興(昇降機) |
| 取得認証 | ・BELS:★6、Nearly ZEB ・LEED v4 BD+C (New Construction):GOLD ・WELL Equity Rating |
| 関連リンク | 「北國銀行本店ビル」のご紹介はこちら |
| 設備設計者が語る。環境・設備のアイデアノート | Vol.25「ニューノーマルなオフィス」に調和する建築設備のデザイン |
| 写真 | FOTOTECA(特記なきもの全て)、佐藤振一写真事務所 * |
これからの地域社会が求める《プロトタイプ建築》を示す「Hirooka Terrace」
今日、人びとが集まり、つながる場として、オフィス/オフィスビルに求められる役割は大きな変化を迎えています。Hirooka Terraceは、働く場所の開放性と流動性を高め、協創拠点として多様な利用者が交差し、新たな革新を生み出すワークプレイスの構築を目指すとともに、これを内部にとどめず、外部の自然を感じられる環境として実現することが可能となる施設です。金沢の気候と呼応し、内外・半外部の共用空間を積極的に取り入れた、本地域で初となる各種の取り組みは、これからの地域社会が求める《プロトタイプ建築》を示しています。
① テナント〈共用〉のテラスで、内外に交流・協創の場を展開
Hirooka Terraceでは、一般的なオフィスビルに見られる「広い専有部と狭い共用部」「内部廊下からアクセスする共用部」という構成を抜本的に見直し、「大らかな共用部」を「建物の内部と外部に」つくり出すことで、交流・協創の場づくりというテーマを建物全体に表出させています。
オフィス北面(けやき大通り側)に配置されたテラスは、水平方向に加えて階段や吹き抜けを介して上下方向にも連続。テナントごとの専有区画とせず、全テナントが自由に活用できる大らかな共用空間です。一般的なオフィスビルでは、テナント同士の出会いや交流は内部廊下でのみ生じることとなりますが、本建物では、この半外部のテラスによって窓の外側の空間も「表」とし、建物内外で賑わいを生み出す構成としています。
② 「北國銀行本店ビル」との接続で新たな価値・協創の場を生み出す
金融機関の本店は、外部に対して「閉じた」設えとされることが一般的ですが、本建物では隣接する「北國銀行本店ビル」(2014年竣工、設計監理:三菱地所設計)の3、4階とブリッジで接続し、「北國銀行本店ビル」の食堂やホールなどの諸機能を共有できる構成としています。
これにより、CCIグループとテナントの垣根を越えた往来が生まれ、地域との交流が一層広がることが期待されます。同時に、必要な機能を共有することで、合理的な建築計画が可能になり、内外・半外部の共用部=テラスなどの交流空間を実現することができました。
③「産官学+『金』」連携プラットフォームの拠点として
大らかな交流・協創の場に加えて、13階にはテナントだけでなく、地域の大学・高校を取り込んだ「産官学金ラボ」を設け、金融機関と企業・官公庁・教育研究機関の積極的な連携を強化します。
金沢駅至近に立地する高いメリットを活かして、多様な人びとの距離感を解消し、共同研究の相談や技術セミナー、採用や起業サポートのほか、社会人が再び大学と接点を持つことで、PBL(Project Based Learning、課題解決型学習:学習者自らが課題を発見・解決する教育手法)や実務連携教育、インターンシップ、リスキリングなど、幅広いマッチングと人材循環を促進する、新たな地域の拠点として機能します。
また、本建物は地域とともに歩む建築の実現を目指し、サステイナビリティの推進にも幅広く取り組んでいます。
・過去最大規模の「MIデッキ」を導入し、石川県産木材を潤沢に利用
本建物では、三菱地所など7社※が設⽴したMEC Industry株式会社(本社:⿅児島県姶良郡湧⽔町)が開発した配筋付型枠製材「MIデッキ」を導入しています。今回の導入は、MIデッキを採用したプロジェクトとして過去最大規模となります(県産材スギ:39.29㎥、南九州産材スギ:95.87㎥)。天井以外にも⽯川県産のヒバ(2、3階外装)やスギ端材(家具やアート)を積極的に用いることで、木質建築普及とカーボンニュートラル推進に加え、能登半島地震で被害を受けた県内木材産業の復興支援にもつなげています。
※ MEC Industry 株式会社:三菱地所株式会社、株式会社竹中工務店、大豊建設株式会社、松尾建設株式会社、南国殖産株式会社、ケンテック株式会社、山佐木材株式会社が2020年に設立した総合木材会社。木を用いた建材の原料仕入れ・製造から加工・販売までを一気通貫で行います。三菱地所設計は三菱地所グループの一員として、同社への技術支援を積極的に実施しています。
・延床面積20,000㎡を超える高層オフィスビルで《初》となるNearly ZEB認証の取得
特徴的な外観を生み出す半外部のテラスは、内部への日射の直達を遮蔽し、Low-Eガラスとの組み合わせにより、空調負荷を大幅に削減しました。また、テラスには利用者の手で開閉が可能なジャロジー窓を設置し、風通しの良い空間をつくりながら、事務室の自然換気を促すパッシブデザインを行っています。
こうした建築計画に加えて、地下水を用いた熱源システムをはじめとする高効率設備を導入することで、徹底した省エネ化を図り、建築物省エネ法に基づく第三者認証制度である「BELS」の最高評価(★6)ならびに「Nearly ZEB」を取得しました。これは、建築物の一次エネルギー消費量を75%以下まで削減した建物に与えられるもので、本建物の高い環境性能を実証するものとなります。

「BELS」最高評価ならびに「Nearly ZEB」取得。エネルギー削減率は78%を達
movie by FOTOTECA
Update : 2026.02.05