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三菱電機ZEB関連技術実証棟『SUSTIE』

Mitsubishi Electric’s net Zero Energy Building test facility "SUSTIE"

北側に面する大吹抜空間。上部に集まる暖かい空気を窓から逃がし、建物全体で自然換気を実施。こうした建築的工夫で空調機器に要するエネルギーを削減(提供:三菱電機)

「SUSTIE」※1は、三菱電機のZEB関連技術の実証棟です。徹底した省エネルギー化およびカーボンニュートラル化を図ることにより、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の最高評価『ZEB』※2に加え、快適で健康性の高い空間の創出によりCASBEE-スマートウェルネスオフィス※3の最高評価「Sランク」とWELL認証※4の最高評価「プラチナ」を取得した、日本初の建築物です。
竣工後の実運用においても、AIやIoT、シミュレーション技術などを用いて、より高効率なエネルギー運用を目指して継続的な改善に取り組んでいます。


※1:「SUSTIE」は三菱電機の登録商標です。
※2:評価対象設備のエネルギー消費量の削減率が、基準ビルに対して100%以上となるビル。
※3:一般財団法人建築環境・省エネルギー機構による、建物利用者の快適・健康の維持増進を支援する建物の仕様・性能・取り組みへの評価。通常のCASBEEウェルネスオフィス認証評価に加え、建築環境総合性能評価においても所定の条件を満たすことが求められる。
※4:WELL Building Standard。米国Delos社の開発した建築物の環境性能を評価する国際認証。人間工学的側面(生産性向上等)の評価に加え、利用者のウェルネス(快適・健康)を重視する点が特徴。国際的な指標として認められている。

DATA

竣工年2020年
所在地神奈川県鎌倉市
用途オフィス
敷地面積85,131.18㎡
延床面積6,461.34㎡
階数地上4階
構造S造
受賞内容

・2026 ASHRAE Technology Award 新築オフィスビル部門:Honorable Mention(米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)/アメリカ)

・令和7年度空気調和・衛生工学会大会(高松)/2025 優秀講演奨励賞:諫早 俊樹(公益社団法人 空気調和・衛生工学会/日)

・2025-2026 ASHRAE Region XIII Technology Award 新築オフィスビル部門:アジア地域優秀賞(米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)/アメリカ)

・第12回(令和5年度)カーボンニュートラル賞/2023 カーボンニュートラル賞関東支部(一般社団法人 建築設備技術者協会/日)

・第62回空気調和・衛生工学会賞 技術賞/2023 建築設備部門(公益社団法人 空気調和・衛生工学会/日)

・2023年度(令和5年度)省エネ大賞 省エネ事例部門:省エネルギーセンター会長賞(一般財団法人 省エネルギーセンター/日)

・第49回東京建築賞/2023 一般二類部門:奨励賞(一般社団法人 東京都建築士事務所協会/日)

・第21回 環境・設備デザイン賞/2023 最優秀賞(第 I 部門:設備器具・システムデザイン部門)(一般社団法人 建築設備綜合協会/日)【MELRemo-IPS】

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当社業務設計、設備設計、監理
施工竹中工務店(建築工事)、弘電社(電気設備工事)、三菱電機冷熱プラント(空調衛生設備工事)、三菱電機システムサービス(太陽光発電設備工事)
コンセプト立案 協力・検証・評価田辺 新一(早稲田大学教授)
取得認証BELS:ファイブスター(5つ星)、設計一次エネルギー消費量106%削減、『ZEB』
WELL認証:プラチナランク
CASBEE スマートウェルネスオフィス:Sランク(有効期限:2026/4/9)
写真写真:ヒロ・フォトビルディング

■ これからの社会が求める《プロトタイプ建築》を提示する「SUSTIE」の4つのポイント

カーボンニュートラル社会の実現を目指す上で、ZEBの普及は喫緊の課題です。同時に、労働⼈⼝の減少を⾒据え、オフィスワーカーの健康増進や⽣産性向上に寄与する快適な執務空間の創出は、これからのオフィス設計の重要なテーマです。「SUSTIE」はこれらの社会課題を同時に解決し、省エネ性と健康・快適性を最⾼水準で両⽴することを目指した建築です。

Low-E複層ガラスと水平庇による南面。屋内の明るさを確保しつつ冷暖房負荷を低減
日射が穏やかな北面(写真左側)には、屋内の吹き抜けに面する大窓を設けて明るさを確保。東西面には空調屋外機を集中配置し、日射遮蔽と断熱の強化を図った

1)都市部での『ZEB』普及を見据えた設計アプローチ
利用者が「快適さ」を感じられることは、建築物を普及させる上で重要なことですが、そのために換気・照明などの設備を増強すると、設備電力が増して省エネ化と逆行してしまいます。

そこで「SUSTIE」では、まず、①自然通風を取り込む開口の設置、庇による日射遮蔽、といった《建築的な工夫》(パッシブデザイン)で、最大限の自然エネルギーの利用に取り組み、エネルギー消費量を削減した上で、②《高効率設備機器の導入》(アクティブデザイン)を重ね合わせる段階的な設計により徹底的な省エネ化を実現しました。
その上で、③《オンサイトにおける創エネの最大化》に向け、太陽光パネル(約360kW)の全てを建物上に設置し、敷地制約の高い都市部での中規模ビルの『ZEB』実現性を示しました。


2)《建築的な工夫》自然エネルギーの積極的な利用でエネルギー消費量を削減

北側に設けた大きな吹き抜け空間は、北面からの採光で明るさ感を確保し、日中の照明を不要に。吹き抜け上部の熱だまりと自然換気窓を利用した重力換気などにより、建物全体で空調負荷の削減を図っています。

パッシブデザインとアクティブデザインを重ね合わせた設計

3)《高効率設備機器の導入》ZEBとウェルネスを両立する設備設計
一部の執務室では、パッケージエアコンで天井内を冷却・加熱し、アルミ製天井パネルの放射効果を用いることで気流感なく室内を調温する「天井チャンバー型空気式放射空調システム」を導入。徹底した省エネとオフィスワーカーの快適性の向上を両立する設備計画を、建物内の随所で展開しています。

4)《運用における取り組み》AIで省エネと快適性を両立する、独創的な「ZEB運用」
設計時のBIMデータをもとに構築したデジタルツイン環境で、各設備の動作や温湿度・照度などを事前にシミュレーションし、エネルギー収⽀や快適性への影響などを予測しています。さらに、AIを活用した多目的最適化技術を組み合わせて、最適な運用計画を立案・実行することで、実運用で得たデータを次の検討に活かす「日々進化する建築」を実現しています。

また、「SUSTIE」では、三菱電機と三菱地所設計が「人位置情報検知サービス※5」を共同実証しました。オフィスワーカーのABWActivity-Based Working)を支援するとともに、省エネ・快適性の両立に貢献する取り組みです。

こうした取り組みにより、「SUSTIE」では、年間エネルギー消費量の実績値でも『ZEB』を達成しています。また、ビルに関わるCO2排出量全体の削減を目標として、運用時の『ZEB』だけではなく、機器容量の縮減、冷媒量の低減、機器更新の容易化等、エンボディドカーボン※6削減にも取り組んでいます。

 

※5 空調機が屋内在室者の持つ端末と通信することで位置情報を取得し、屋内マップ上に 在室者の位置と室内の温熱環境情報などを一覧で表示するシステム。
※6 建築の資材調達~建設~運用~解体に至るライフサイクル全体で排出されるCO2のうち、運用時のエネルギー消費と水消費を除くその他全ての活動で排出されるCO2

北側に面する吹き抜け。コミュニケーションスペースを兼ねる大階段は、徒歩による上下階の移動を促し、利用者の健康増進に寄与する(提供:三菱電機)

「SUSTIE」における技術展開

建築的工夫と高効率設備機器を重ね合わせる設計プロセスに、ウェルネス向上につながる機器を導入した「SUSTIE」の技術・空間の一例を紹介します。

関連書籍発行のお知らせ
当社が三菱電機株式会社と共に編集に加わった書籍『新建築20262月別冊 ZEB+ ゼロエネルギーのその先へ ZEBWELLを両立する三菱電機SUSTIE』が2026226日に発売されました。
本書は、三菱電機ZEB関連技術実証棟「SUSTIE」を特集し、これからの都市部オフィスに求められる省エネルギーと快適性の両立を目指した技術統合を多角的に解説。「リビングラボ」として日々実験が重ねられるSUSTIEでの取り組みを通じて、次世代オフィスのあり方、その可能性を感じ取っていただける一冊です。

Update : 2026.06.03

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