大手町ビルディング　ｰスマートリノベーション

■プロジェクト概要

　2018年に築60年を迎えた大手町ビルディングで「100年建築ビルへの挑戦」と位置付けられた大規模リノベーションを実施しています。環境性能を向上させる、さまざまな素材を使った外装改修のほか、内装も古き良い素材は生かしつつ、スタートアップ企業にも受け入れられやすいデザインへの改修を終え、今後、約4,000㎡もの緑あふれる都市のオアシスとなる屋上広場の改修を実施予定です。

大きな街区の築古ビルには、建て替えという大規模再開発手法が選択されることが多い中、大手町ビルは、低層で、柱が多く、長い廊下形式であることを活かし、小割オフィス中心のスタートアップテナント需要に応えることが可能であることから、既存活用の方針が取られました。この都心部での既存ストック活用は大規模再開発とは別の再生手法といえます。

　竣工した1958年当時、世界でも10本の指に入る規模だった大手町ビルは、インフラやパブリック空間の自由度の面でも、今日なお利便性の高い施設として使われています。当時から、今でいうスマートビルやスマートシティとしての考えがあり、リノベーションにより、現在、未来でも使い続けられるキャパシティを当初から備えていたといえるでしょう。サステイナブルな社会は多様な手法を駆使して構築する必要があります。同時に、スマートシティも一度つくれば終わりというわけではありません。本プロジェクトはストック活用・リノベーションによりその実現を試みた事例です。