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連載|古図面の旅

第25回 丸の内仲通りの建物の床はナゼ木造なのか?

江島 知義

丸の内は、国からの払い下げ時に市区改正条例によって、耐火建築物とすることが条件付けられており、下階からの延焼防止という観点から、当然、床の構造も耐火構造となっていたはずである。しかし、なぜか丸の内仲通りに面する第6~11号館と第14~17号館の床だけが木造となっている。

明治27年竣工の第1号館をはじめとする馬場先通りの建築群の床は、「防火床」という仕様であり、明治37年に出版された「和洋改良大建築学」にもこれらについて「耐火床」と記載があることから、その違いは、技術的な問題ではない。一方、「防火床」「耐火床」の馬場先通りの建築が3階建て、「木造床」の第6~11号館が2階建てであることから、規模による構造の違いであったと考えられる。このうち第6、7号館は、当初アパートメントとして計画され、竣工間際に貸し事務所に変更されたが、床は木造のままであったことから、この違いは用途によるものではなかったと考えられる。

従って、市区改正条例によって、耐火建築物とすることが条件付けられていたが、3階以上の建築のみに耐火性能を求められたか、または、既に沿道耐火の概念があり、馬場先通りなどの大通りに面した建築のみに耐火性能が求められていたに違いない……(?)

1923(大正12)年の丸の内の建物配置

1923(大正12)年の丸の内の建物配置

第2号館床構造 第14、16号館床構造

左:第2号館床構造 右:第14、16号館床構造

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