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連載|古図面の旅

三菱地所設計(以下、当社)は、1890年(明治23年)に三菱社の内部に設置された「丸ノ内建築所(まるのうちけんちくどころ)」にはじまる、わが国で最も歴史のある設計組織です。当社が管理する建築図面は、1894年(明治27年)に竣工した三菱一号館から現在に至るまで、途切れることなく残されています。現在、当社「古図面研究会」によって順次調査分析が行われており、膨大な図面の情報から各時代の設計思想や建築技術を知ることができます。 設計者たちは、各時代に何を考えて設計に取り組んだのか、図面を残すことで後世に何を伝えようとしたのか、そこにはどのようなレガシーがあるのか。図面1枚1枚を広げて見えてきた奥深い世界へご案内します。

目次

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筆者プロフィール

  • 野村 和宣

    野村 和宣(のむら かずのり)

    建築や都市を鑑賞する際、専門家の意識を取り除いて、できるだけ素の人間としての自分になって観るように心がけています。美味しい料理が理屈なく美味しいと感じられることと同じように。

  • 須藤 啓

    須藤 啓(すどう ひろむ)

    学生時代から歴史的建造物に興味がありましたが、入社して保存復原に携わることができました。尺寸で書かれた古図面を読み解くのはとても楽しいです。当時の設計者の立場になって考えているうちに、その時代にタイムスリップしたような不思議な感覚になります。

  • 江島 知義

    江島 知義(えじま ともよし)

    歴史的建造物に関わる楽しみは、推理小説を読むような謎解きにあります。なぜ、このデザイン? 納まり?など、原設計者と会話をするように謎を解き、オリジナルを探し求め、そこに新たな価値を見い出すようにしています。

  • 住谷 覚

    住谷 覚(すみたに さとる)

    古図面と出会って数年。設計者の思いを想像しながら向き合うことを大切にしています。描き込まれた大先輩のスケッチに共感したり、逆に悩んだり。図面に残された謎が解けた瞬間が一番の楽しみです。

  • 大西 康文

    大西 康文(おおにし やすふみ)

    古図面は、日本が国際化し工業と産業が発展していく過程で、その時々の設計者が建築の細部を改善すべく試行錯誤した過程を教えてくれます。図面から伝わってくるものづくりへの情熱に、同じ技術者として心癒される今日この頃です。

  • 東海林 孝男

    東海林 孝男(しょうじ たかお)

    大先輩方がどんなことを考えながら、この図面を描きあげたのか。古図面を見ていると、私たちと同じことに悩みながら設計している姿が想像できます。私にとって古図面は、検討のプロセスが感じられることが一番の醍醐味です。

  • 篠田 悟

    篠田 悟(しのだ さとる)

    建築技術や安全対策など、今では当たり前のことが、大型機械がない時代では、大変な労力を必要としたことが容易に想像できます。当時の技術でどう作ってきたのか、謎を紐解くのも楽しみの一つです。

  • 谷口 洵

    谷口 洵(たにぐち しゅん)

    現代では当たり前の設計方法も、先人たちが苦労を重ね築いてきた歴史があります。単に古い図面というだけでなく、なぜ私たちが今の設計をしているのか、古図面からそこまで読み解けた瞬間、最高の気分になります。

  • 鰐淵 卓

    鰐淵 卓(わにぶち たく)

    自分が身を置く街や環境がどんな経緯で今の姿になったのか。古図面を見る時、時代の空気や設計者の気概を臨場感たっぷりに感じながら、今の当たり前の都市・建築が図面に描かれたまさにその瞬間に立ち会うことができます。