ポストコロナにおける住まい方(月島荘)
都心で働くビジネスパーソンのための複数企業が利用する全644室の企業寮。
周辺建物の隣等間隔と同間隔で3棟に分けて配置し、1階全体を居住者のための共用部として開放した(一部は地域にも解放)。ガラス張りの共用空間を外部空間に面して並べ、そこに日常動線を設けることで視線が別の棟や周辺の街並みにまで広がり、さまざまなできごとを目撃する街路のような空間を実現した。
2階以上は約70の住室と1つの共用空間で構成された「クラスター」を通じ、日常生活の中で何気ないコミュニケーションが生まれることを目指した。
新型コロナウィルスの影響により、私たちの働き方は強制的に変化させられた。
当初は、課題の多かった在宅勤務もデータの共有化やWEB会議などの仕組みが整いつつあり、テレワークに適した職種についてはポストコロナにおいても以前の働き方に戻ることはなく、働き方の変革は継続されることが予想される。
通勤による負担がなくなることや家族との時間が増えるといったメリットがある一方で、課題も存在しているのも確かである。
奇しくも新しい住まい方を提案している月島荘は、在宅勤務による問題点の解決策を提示している。
企業寮をシェアする月島荘では、単身者の在宅勤務に懸念される孤独感の解消は当然のこと、キッチンやダイニングなどの共用施設(大)・クラスター共用部(中)・住室(小)という居場所の選択性、ジムや大浴場などのリフレッシュ設備など、シェアによって得られる豊かな住環境設備は、新しい働き方を支える重要な環境として位置づけられていくだろう。
業種・職種・国籍・年代を超えて互いに高めあっていく月島荘で形成されていく新しいコミュニティの在り様は、今後の住まい方の線上に位置していると考える。
竣工年 | 2013年 |
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所在地 | 東京都 中央区 |
用途 | 集合住宅 |
テーマ | スマートシティ |
敷地面積 | 6,647㎡ |
延床面積 | 23,423㎡ |
階数 | 地上8階/地下1階 |
構造 | RC造 |
ポストコロナにおける住まい方(月島荘) |
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写真撮影
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