都心部における広域エリア防災対策
丸の内二重橋ビルの新築にあたり、首都直下型地震等の大規模災害に備えるため、新築建物の災害対応力の強化のみならず、既存建物のBCP機能の向上、地域の面的防災強化も併せて実施した。
丸の内仲通りの道路下約250mに渡り耐震性に優れた洞道を構築し、丸の内二重橋ビルから既存建物3棟に供給する電源インフラを計画することで、約72時間分の非常電源を確保した。
本施設は大手町・丸の内・有楽町地区都市再生安全確保計画における都市再生安全確保施設に位置付けられており、これを整備することでまちづくりとしての地域貢献を果たすことができた。
近年、甚大な自然災害が頻発しており、各地で防災に対するレジリエンスの意識が高まっている。特に、首都直下型地震や南海トラフ地震等の巨大地震が発生した場合には、その人的被害や経済的被害は深刻なものになると予測されている。
都心のオフィスが密集するエリアでは交通手段の遮断によりオフィスワーカーや来街者が帰宅困難者と化し、これらの人々を受け入れるための一時滞在施設の整備が求められている。また、災害時にもオフィスが継続できるBCP機能の拡充も必要とされている。
一時滞在施設やBCP機能を確保するために必要となるエネルギーインフラについても、災害時には一時的に機能停止するリスクがあり、これをエリア全体で確保することが重要と考えられる。この事例では熱や電気を供給できるインフラ整備を行ったが、他にも情報通信や水、雑用水配管等、様々なインフラの供給が考えられる。
このようなエネルギー供給に関するハード整備に加え、将来的にはバーチャルパワープラント(VPP)を活用した需給バランスの最適化、センシング技術を用いた災害予測、デジタルサイネージを活用した災害情報の発信、AIを用いた迅速な災害情報解析といったソフト面の技術を組み合わせることにより、スマートで災害時に強いまちに変わることができると考える。
竣工年 | 2020年 |
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テーマ | スマートシティ |
構造 | シールドトンネル 内径 3.2m 延長 254.9m 最大深度 34.6m |
備考 | 道路占用物、指定とう道 |
都心部における広域エリア防災対策 |
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写真撮影
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