GINZA KABUKIZA　歌舞伎座、歌舞伎座タワー　–ヘリテイジシティ

■プロジェクト概要

　歌舞伎座の継承・再生プロジェクト。この第五期歌舞伎座は、先代である第四期歌舞伎座（1950年竣工、設計：吉田五十八）の持つイメージや、ホールの音響のよさを継承しつつ、劇場機能の向上、地下鉄駅直結の地下広場や日本の伝統を伝える文化施設の整備、高品質なオフィスビルを併設した施設です。オフィスビルは舞台の直上に位置。メガストラクチャーによりこの構成が実現されました。

21世紀においても、劇場が都心部で経済的にサステイナブルであり続けるためにオフィスの併設が選択され、都市計画での対応が肝要となりました。都市再生特別地区を活用し、「歌舞伎を中心とした文化の創造と発信」「都市基盤整備をはじめとする街づくりへの貢献」「地域防災への対応」という主に３つの取り組みを行っています。これにより地下鉄からの人の流れを受け止めるポケットパークも併設することができ、劇場の持つ賑わいを立体的に展開しています。

　歌舞伎座は1889（明治22）年に竣工した初代歌舞伎座に始まり、戦災を経てなお、100年以上、5代にわたり同じ地にあり続ける稀有な存在です。オフィスや住宅、商業施設を中心に据えたスマートシティの開発事例はありますが、ここでは劇場という文化施設を中心にその文化を継承し続けていくための街が、最先端の技術により実現されています。

　都市の中で、文化施設をサステイナブルに継承・再生しつつ、最新技術を駆使してまちづくりを行うことは、時代と社会に求められるスマートシティのひとつの要素なのです。