WORKS

Vol.8

意匠・プランニング

カーテンウォール傾斜バックパネル

2019/9/30

見せる/見せない
切り替え可能な2way外装。

建物は将来の使われ方の変化に対応すべき。この考えに基づいて、「視線を通す/通さない」の切り替えが可能なカーテンウォールをデザインしました。商業ビルは将来どんな店舗構成になるかわかりません。目隠しの必要な物販が、見晴らしの必要な飲食になるかもしれないし、オフィスになるかもしれません。そんなときは、パネル壁がシースルーのガラス壁に早変わり。ガラス・カーテンウォール構成の背後に着脱可能なアルミのバックパネルを装着した外装技術です。

2016年3月竣工のKITTE博多の北面。
2019年5月現在、地下階と9~10階に飲食店舗、7~8階に物販店舗、11階にブライダルが入る。

パネルを外せば壁から窓へ

ガラス壁とその裏のバックパネルの2層で構成されたカーテンウォールです。最初の採用事例は博多駅前商業ビルのKITTE博多。ガラス壁のすぐ内側に、幅900mm、高さ5m弱の縦長のアルミパネルが手作業で取り付けられると、視線の通らないパネル外壁に切り替わります。広い壁面を利用した個別の店舗デザインに対応しながら、視線の通る開口部の変更を、改築工事をせずに実現できるのです。

このバックパネルは、上階床の端部を隠すスパンドレルの部分は固定されていますが、その下の部分が着脱可能。外すと約4mの窓が出現します。パネルは上下に2分割されながら、その間に目地はなく、小口を突きつけた仕上げは見せ所。外観を決めるパネルの意匠にはこだわりがあります。ひとつずつ上下左右逆の角度に傾斜させながら設置することで、反射による色彩の違いを利用した市松模様を描きました。

市松模様を表現した外装。

物販店舗入居時はパネルを設置、飲食店舗・オフィス入居時はパネルを撤去。


取り付け簡単、きれいに納まる

パネルは着脱のしやすさも追求しました。接続にはボルトは使いません。精度の高いアルミのジョイント金物を使ったはめ込み式で、特別な施工は一切不要。熱伸びしたときにも隙間が生じません。これが2 つのパネルの境目のわからない小口突き付け接合を実現しているディテールです。薄くて軽いパネルは人力で簡単に着脱可能で、ストックも大きな面積を占めることはありません。

パネルのオモテ面は金属風仕上げの焼き付け塗装。光の反射角の違いで色の濃淡が変わります。互いに逆の角度で傾斜させたバックパネルが市松模様を描くのはそのためです。

境目がわからない、
小口突き付けのディテール

パネル裏面のジョイント金物。熱伸び時にも隙間ができない。

パネルの接続部分。線が現れず、一体のパネルに見える。

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