WORKS

Vol.17

意匠・プランニング

ゼロ動線病棟

《病院》建築物として国内初の意匠登録

2020/11/16

看守り/触れあいで包み込む安心病棟。

一般的な病室は廊下に面していて、そこから面会者のデイコーナーやスタッフステーションへと長い距離を隔ててつながっています。その距離をなくしたのがこの病室プランです。病室には扉が2つあります。片方の扉の向こうはスタッフステーションに直結。窓越しにいつも見守ってくれます。反対側の扉の向こうは縁側廊下。程よい日差しと新鮮な空気の通う幅広縁側廊下は、見舞客と患者が触れあう優しいロビーです。患者・スタッフの双方にとってメリットのある新しい療養環境を提案しています。

左:病室左の縁側廊下。見舞客と面会できるロビーでもある/中:病室。右の扉の向こうはスタッフステーション/右:病室右のスタッフステーション

新意匠――   
【縁側廊下+病室】⇔スタッフステーション⇔【病室+縁側廊下】

病室の窓の外は外部であることが一般的ですが、ここでは扉とその向こうに広い廊下(縁側廊下)を設けました。縁側廊下は外部に面し大きな開口部をとって、十分な採光と通気を果たしています。それは単なる動線としての廊下ではなく、見舞客と患者が扉のすぐそこで触れあう空間でもあります。私たちに馴染みのある縁側廊下、広縁なのです。患者が病室から1歩出て、外を眺めて気分転換できる場であり、これまでのように、患者が面会者と会うために、点滴スタンドを抱えながら長い廊下を延々とゆかなくても良いのです。

一方の扉の向こうはスタッフステーション。壁面腰上部をガラスとすることでいつも看守りが可能。看護動線距離が“ゼロ”であるという特徴をもちます。面会者との動線と切り離した、スタッフの専用動線を確保しています。専門的要件の重なる病棟プランは画一的なものが多くなる状況にあって、MJSはその意匠計画に新たな道をもたらすべく、本構成の意匠登録(※1)を果たしました。

左:従来の病棟プラン/右:ゼロ動線病棟プラン

ゼロ動線病棟プランを導入したキラメキテラスヘルスケアホスピタルの基準階。
スタッフステーションから連続するかたちでデイコーナー(広間)を設けた

また、本意匠を導入したキラメキテラスヘルスケアホスピタルでは、スタッフステーションから連続するかたちでデイコーナーを設けました。デイコーナーは患者が談話、休憩したり、食事もとるいわばパブリックなスペースですが、そのエリアもまたスタッフステーションから看守られる場所になりました。ケアの機動性が高まります。

中央にデイコーナー、右側にスタッフステーション、
左手奥にリハビリスペースが続く見通しがよく死角の少ない一体空間

*掲載している図版は計画段階でのイメージであり、実際とは異なる部分があります。

建築概要
発注者|医療法人玉昌会
病院名|キラメキテラスヘルスケアホスピタル
設計者|株式会社三菱地所設計
施工者|松尾建設株式会社
病院の情報は医療法人玉昌会様のHPをご覧ください。


※1 ゼロ動線病棟 意匠登録情報
[意匠に係る物品] 病院
[意匠登録] 第1672637号

意匠登録された斜視図(左2点)、平面図(右)

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